ビットコインが最高値を更新!
2025年7月11日、1ビットコインが1,740万円で最高値を更新しました。ここ二ヶ月は1,500万円台〜1,600万円あたりを推移していましたが、一気に8, 9%近く価格が上がったことになります。
投資信託だと手堅いもので年利が5%程度、S&P500なら6~8%といった世界ですから(諸説あり)、数日にしてそのレベルのリターンが出てしまうというのはとても夢のある話のように思えます。
今回は、ビットコインをちょっとは持っている、あくまで私個人の意見ですが、ビットコインの危険性や、現在の税制など保有する場合に知っておいた方が良いことなどについて書いていきます。色々と知っておいて損はないと思います!
※内容の正確性に関しては保証しません。また、この記事を読んだことによって起きるいかなる責任も負いかねます。ご了承のうえでお読みください。
※この記事は、あくまでも私の意見です。一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や運用方法を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の運用に際しては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。
目次
ビットコインは怪しいのか?
結論、ビットコインは怪しくないと私は思います。実態がない、内在価値がないといった批判があり、海のものとも山のものともつかない印象を与えているように思います。そういった意見について一定は正しいと思う反面、少し誤解があるようにも思えますので、あくまで私の意見ですが順に述べていきたいと思います。
まず「ビットコインは実態がないから怖い」と言う懸念についてですが、「実態がない」という前提には疑義があります。ビットコインの実態はブロックチェーンと呼ばれる、今現在は十分に堅牢とされている技術で保証されたデータであり、データはサーバーのディスクにおいて電子という実態があるものによって記録されています。
また、「内在価値がない」という点については、おっしゃる通りではあるのですが内在価値が価格を決めるうえでそこまで要素なのかという点には疑問があります。たしかに金や銀などの貴金属は、美術品や装飾品、さらには電子部品や歯科素材などに使われる物理的な実用性があります。その点で、金には一定の「内在価値」があると言えるでしょう。一方、ビットコインは食べたり装飾品に使ったりすることはできません。
ただし、金の価格が長年にわたって高く維持されている理由の多くは、それらの実用性以上に「これには価値がある」という共通認識の力によるのではないかと思います。そういう意味では、今のビットコインも似た性質があると考えます。
とはいえ、そんな怪しまれがちなビットコインも2021年にはエルサルバドルで法定通貨として採用されていました(2025年1月に法廷通貨から排除)。これに留まらず、世界各国がビットコインを準備資産として大量に保持するなど世界経済における信用を形成しつつあります。
各国のビットコイン保有量は、アメリカは21万弱ビットコイン、ついで中国が20万弱、英国、ウクライナ、そしてブータンと続き、国家戦略としてのビットコイン運用が世界中で行われています(Bitcoin Holdings of Countries & Governments by BiTBO)。21万ビットコインを単価1,740万円で計算すると大体3.7兆円くらいですので、膨大な額というほどでもないですが今後の伸びも考慮してちょっとずつ持っておく戦略なのでしょう。
まとめると、ビットコインは「怪しい」と言うほどのものではないと私は思います。ただし、価値の揺らぎやゼロになるリスクを十分に織り込んだ向き合い方が必要と考えています。もう少しリスクの観点で深掘ってみましょう。
ビットコインの価格は大きく変動してきた
株価は長期的に右肩上がりでも細かく見ていくと下落を挟んで上昇を繰り返しています。ビットコインも下落と上昇を繰り返した末の今回の最高値更新となっています。ただし、その下落幅と上昇幅がインデックス投資などと比較すると大変に大きいことは理解しておきたいです。
個々の暴落と急騰の理由は追いきれませんが、昨年末は暗号資産に関する内容を公約に掲げていたトランプ氏が大統領に再選したことで、大統領選前は1,000万円台だったところから二週間ほどで1,500万円台に上昇しました。その後、関税政策の発表によるリスク資産への警戒や、取引所のハッキング被害、地政学リスクなど様々な要因が重なって一時1,000万円台まで下落するなど、この数ヶ月だけでも大きな変動が観測されました。
そして今回の急騰は、FRBが利下げを早めることを示唆したことや(中央銀行の利下げにより銀行の金利が下がれば、投資や株式市場にお金が流れ、ビットコインなどのリスク資産にもお金が流れる)、好景気にあることなどなどが重なった結果と言われています。以上を踏まえると、ビットコインは短期間に価格が大きく変動することを前提に資産に組み入れる必要があると考えます。
また将来的に量子コンピューターが普及した時に、ビットコインの根底にある今のブロックチェーン技術がビットコインの信頼性を確保できるか、脆弱性が見つからないかなどは誰にもわからず、恒久的にビットコインの価値は伸び続ける保証はないです。何なら、価値が0になるリスクだってありえると理解しています。
日本の税制の観点で押さえておきたい注意事項
今回の最高値更新を受けて利確をすることも視野に入るかもしれません。ここでは、その際の税制上の注意事項に触れます。それは、2025年7月13日現在、ビットコインを利確して日本円に変えた場合には雑所得扱いになり、株式投資やFXによって得た利益よりも課税額が大きくなる場合があるということです。先にまとめを書いておきます。
- ビットコイン:総合課税(給与などと合算)で累進課税で計算
- 株やFX:申告分離課税で他の所得と分けられ一律20.315%で計算
まず、株式投資やFXによって得た利益についての扱いですが、「申告分離課税」と呼ばれる所得区分に分類されます(単に分離課税とも呼びます)。何と何を「分離」しているのかというと、給与や事業所得といったメインの所得とFXや株などの利益を分離しています。申告分離課税では利益を所得とは全く別の扱いにして、専用の税率である一律20.315%で計算します。この分離課税の方が計算がシンプルですし、給与所得が多い方にとっては課税額が小さく済むメリットがあります。
20.315%の内訳は以下のように構成されており、ポイントは住民税がこの中に含まれることです。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 復興特別所得税:0.315%
住民税は基本的に、前年の所得に対して10%課税されます。しかし、分離課税において上記の5%分の住民税をすでに納付しているので、分離課税に含まれる分に関しては翌年に改めて10%分が課されることはありません。
例えば、FXで100万円の利益を上げた場合、20.315万円を納税すれば、その中に5万円の住民税を含むのでそれっきりです。この100万円の儲けにより翌年の住民税が上がったりはしません。
一方で、現時点ではビットコインはメインの所得に合算される総合課税になり、累進課税が適用されるうえ、それとは別に10%分の住民税も次の年に納税する決まりになっています。
所得税の累進課税の計算はやや複雑ですが、目的としては所得が多い人ほど多くの額を支払うようにすることです。具体的には、給与ごとに閾値を設け、その区間ごとに決められた税率を計算して足し合わせた結果が納税額となります。例えば、所得が500万円だったとすると、0円, 195万円, 330万円の三つが関係する閾値となります。500万円は0〜195万円、195万円〜330万円、330万円〜650万円の3つの区間に跨ります。195万円までの区間は5%の税率、195~330万円の区間は10%の税率、330万円〜500万円の区間は20%の税率で課税されるため、それぞれの区間において算出された金額を足し算して(累進して)、課税をする仕組みです。勘違いしやすいのですが500万円全部が20%で課税されるわけではないのですね(図1)。
図1: 所得税の累進課税
一定の金額ごとに閾値が設定されており、区間ごとに異なる税率を課す仕組みで、195万円までは5%、195万円〜330万円までの間は10%というように、徐々に税率が大きくなっていき、最終的に4,000万円以上の区間(それ以上は閾値はない)では税率が45%になる。
例えば、ビットコインで1億円の利益を確定させた人の場合、給与所得分を除いたとしても4,000万円近くは所得税で持っていかれてしまいます。これに加えて、来年、所得全体に10%の住民税がかかるため、1億円の10%=1,000万円も納税する必要があります。また、小さいですが、復興特別所得税も合わせてまとめると、現状の税制度では一括で1億円分利確すると半分くらいは納税することになります。
ただ、累進課税の仕組みを理解すれば、こまめに利確をしていけば税率を低く押さえられるということがわかります。まとめて1億円を利確せず、毎年ちょっとずつ195万円や330万円を超えないようにうまいこと利確するというのも一手です。ただ、売りたい時に売り抜けないという懸念は付き纏います。先述の通りビットコインの価格は分散が非常に大きいです。今日1億円の資産価値があったとしても明日や明後日、一年後も同じ資産価値を保っているかは全くわかりません。
現在、この点に関する議論は国会で進行中です。個別具体の政党についての言及はここではしませんが、今度の参議院選挙ではこの点にも注目してみると面白いかもしれません。
以上を踏まえた私のビットコインに対するスタンス
ここまで「夢は大きいけど、リスクも大きい」というビットコインのお話をなるべく中立的に語ってきたつもりです。ここからは私なりに「こんな感じかなぁ」というビットコインへのスタンスを紹介します。
資産形成においてコアとサテライトという考え方があります。その二つを良い塩梅で持っていくというのが私の基本方針です。
- コア投資には手堅く伸びていく類のインデックス投資などが含まれます
- サテライト投資には、当たった時に大きな伸びが期待できるものが含まれます
前提を揃えておくと、私はまだ資産形成初期であり年齢的にもリスクをとって良いと思っています。もちろん、いざというときのためのお金である安全資産を確保した状態で、余剰資金で投資を行います。その前提で、私の気持ちとしてはコアとサテライトは7:3くらいでやっていきたいなと思ってはおり、サテライトの中でもビットコインは半分くらいかな、と思っています。色々と他の可能性にも賭けてみたいですからね(実際には気持ちが入ってしまって全くその通りの配分にはなっていなかったりするのですが)。。なんとなくのイメージですがいずれは資産の10%くらいをビットコインにするのはありかなとは思いつつ、一方で、先述の通り、「技術的革新や脆弱性の発覚によって価値が0になる可能性がある」と頭では理解しているといった具合です。
そして、日本の税制が今後どうなっていくかにもよりますが、基本は長期保持を前提に、欲張りすぎずに利確をしながら、年齢と相談してコアに還元していくような格好にしようと考えております。
まとめると、私のスタンスは多少はビットコインに期待しつつも、全ベットはしないという考えです。「仮想通貨のお勉強」の意味合いも強いです。
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます。ビットコインの価値が0になる可能性もありえなくはないと思いますが、よくよく考えてみるとそれってビットコインに限ったことではないです。金や銀だって、日本円だって、アメリカドルだって絶対に価値が0にならないかと言われればわからないわけで、理屈でそのリスクを測り兼ねる以上は、最後はどこまでなら極端に不安にならないで済むかという精神論になってくると思います。もし直感的に嫌だと思うのであれば手を出さないという選択もアリだと思います。実際、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏はビットコインを強く否定しています。
やる、やらない、いずれの選択肢を取ったとして、それは大きな問題ではないと思っております。今回、ビットコインについて色々な意見があるということを紹介することが私のゴールです。私はビットコインを世の中に普及させたくてこの記事を書いたわけではありません。色々な角度からお金に関する知識を深め、騙されないようになったり、あるいは経済的自立に繋げていくきっかけとしていただければと考えているだけです。
あなたも私もお金に関する不安がない人生を送っていけるよう、引き続きよろしくお願いいたします。
※再三ですが本記事の内容はあくまで私個人の意見です。また、内容の正確性については保証しないことと、実際の運用はご自身の判断と責任のもとで行なってください。
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