厚生年金が流用される?この機会に年金制度を大掴みにしてみよう

2025年6月7日土曜日

年金 老後

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「厚生年金がないと老後きついぞ」と言った父さん

 年金制度が変わると話題になっています。「サラリーマンの厚生年金が横取りされた」とか、「いやいや、トータルでは損しないよ」とか言われていますが、よくわからないのも当然です。
 年金について学校では何も教えてもらえないまま大人になって、気づいたら給料から天引きされているのが普通だからです。「そもそも厚生年金って何?」とか「年金は払わないとダメなの?」という方に読んでいただくべく、大掴みな説明を試みたいと思います。

 なぜ説明をするのかというと、この改正にどういう意味があるのか、世の中は今後どのような潮流の中で変遷していくのかを掴むことで、一人ひとりが最善の選択をし、ひいては老後不安を未然に防ぎ、事実苦労する人を減らしたいと考えるためです。
 父は最近、仕事で心の病気を患ってしまいました。そんな父と先日電話をしたところ、「厚生年金がないと老後きついぞ」と言っていました。その発言を否定はしませんでしたが、私は元から「老後は年金があるから安心だ」とは思っていませんでしたので、考え方のギャップにショックを受けました。少子高齢化が進んでいく中で、これまで通りに運用できる制度ではないことは明らかだからです。事実、今回、変わろうとしています。

 そんな確実性が低いものを手にするために、心や体を壊してまで働くことが割に合うとは思えません。それは私にとっての「最善の選択」ではありません。

父さんが貰う年金はどこから来たお金?

 そもそも日本の年金制度とは、労働者の老後の生活を保障するためのものです。現役の労働者が稼いだ給料の一部を高齢者に配当する賦課方式(ふかほうしき)で成り立っています。
 簡単にいえば、今のおじいさんやおばあさんに配られる年金を、今働いている人たちのお給料から払い出して配る制度です。今のおじいさんやおばあさんも働いていたときはお給料から、その時の高齢者に回すためのお金を支払っていました。

 支払えるのに支払っていなかった人は年金をもらうことはできません(扶養の場合を除く)。年金は、働けるときにお金を一部払って、将来的に働けなくなった時に年金をもらう権利を得るという保険制度です。

年金の種類がありすぎてよくわからない問題

 年金には種類があり、どれに入っているのかはその人の労働条件や意思によって異なります。以下に簡単に年金の種類のまとめを載せますが、「公的年金と私的年金があって、公的年金は誰もが関わる」くらいの認識でOKです。

  • 公的年金:本人の意思に関係なく必ず加入
    • 基礎年金(国民年金とも呼ぶ):全ての労働者が対象
    • 厚生年金保険:一定の労働時間や会社規模などの条件を満たす労働者が対象
  • 私的年金:公的年金以外の年金で、本人の意思で加入するものを含む(以下は例)
    • 確定拠出年金
      • 企業型確定拠出年金:導入企業では原則加入(掛金の変更が効く場合あり)
      • iDeco:任意加入
    • 民間の保険
 
 さて、労働者にとって最も馴染み深い言葉としては基礎年金と厚生年金でしょう。これらは二階建ての関係と言われます。
 誰もが加入する基礎年金は40年間払い続けると、老後毎月7万円弱をもらう権利を得ます。厚生年金に加入していた人たちは、基礎年金に加えて厚生年金分をもらえます。
 この厚生年金は納めていた額に応じてもらえる額も増えますが、私の所感としては、今2025年6月8日現在の制度だと、長生きできるなら悪くもない金額ですが夢がある金額ではないかなというところです。
 いくらもらえるのかをざっくり知りたい方は年金シミュレーターをご利用ください。

※当たり前ですが「全員」は然るべく保険料を支払っている人に限ります

 少し脇道に逸れますが、個人的には公的年金に頼りすぎてしまうことはリスキーに感じます。過去記事老後不安解消は知ることから!!シミュレーションで冷静に分析してみよう!において老後の生存戦略についての個人的考えをまとめていますのでぜひご一読ください。

厚生年金が流用される!?

 さて、今、年金制度がどのように変わろうとしているのでしょうか。結論、厚生年金に加入していた人から集めたお金が、拠出金という仕組みにより基礎年金の財源の一部に充てる案が審議中です。
 すでに述べたように、厚生年金はいわゆるサラリーマンの人たちが中心に出し合ったお金が原資となります。その厚生年金の一部を、基礎年金に充てる仕組みが改正案の肝になります。
 


 この背景には、国民負担を鑑みて、全員が加入している基礎年金保険料をこれ以上に増やさないことになっているため、財源として厚生年金に白羽の矢がたったという事情があります。比較的に余裕があるとされている厚生年金加入者の生活をより豊かにするよりも、広くあまねく社会保障を行なっていく方向に舵を切っていると読み取れます。

 さて、厚生年金の拠出だけでは基礎年金加入者の方が厚生年金加入者よりも多いので、厚生年金の一部では全体の底上げを行うことができません。そこで、国庫からも補填して基礎年金を大きくすることで、「基礎年金」+「厚生年金」のトータルでは、多くの人はもらえる金額がむしろ増えるという説明されている模様です。
 
 
 「年金が減らないなら良かった」と思って良いでしょうか?
国庫はどこから来たお金なのかを考える必要もあります。当然ながら、原資には税金が含まれます。これらは結局、国民が負担したものです。
 特に厚生年金を収めているような所得が多い国民が多めに負担することになるため、一概に「年金が減らない」から「損をしない」ではないことには注意が必要で、その点も加味しながら改正法案の行末を見届けましょう。

将来を予測しながら動こう

 今回の法改正におけるコンセプトとしては弱者とされる方々のセーフティネットの強化的意味合いがあり、具体的な方法は別としてそれ自体は必要かと思います。
 今回の改正案は大きく話題に取り上げられ、年金制度は変わりうるということを改めて私たちに知らしめてくれました。将来にどんな改正が行われるかを想定はしきれませんが、改悪がされることも視野に入れながら老後戦略を考えていく必要があると思います。
 
 そのためには、生活するために必要だけどリスクを伴う「お仕事」と、万が一の将来、年金制度が成り立たなくなったときの切り札となる「資産形成」に関する選択について、偏見を持たずに理解をしておく必要があると考えます。
 これについては、6記事+1本のまとめ記事を書いておりますので、興味がありましたらご覧ください。あくまで私の考えですが何個かは希望を与えられる話があるかもしれません。


 皆様が「最善の選択」をし、その先に不安のない生活をされることを願い、これからもラボの運営に尽力してまいりたいと思います。



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VUCAと呼ばれる先の見通しを立てにくいこの時代において、各々が不安なく、自由に幸せを追い求められる社会を実現すべく啓蒙に励んでいます。 不安解消ラボ.comにもぜひ足をお運びください!

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