積立投資の王道〜シミュレーターで実感する正攻法と人的資本への投資について〜
投資は時間のゲーム
直近の記事では貯金だけではなく、投資も行うことで老後までに資産形成を期待でき、さらに投資のためのお金を捻出するための節約術についても話しました。ご興味がありましたらどうぞご一読ください!
==過去記事==
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上記の記事の中で、毎月合計1.5万円ほどを捻出し、30年間運用した際のシミュレーションも行いました。また、その1.5万円を捻出するための節約術も紹介しています。この取り組みを地道に続けることで(その頃にはインフレしているのでしょうけど)、老後二千万円問題は跳ね除けられるポテンシャルを持っています。
本日は、積立シミュレーターをもう少しいじってみて、効率の良い運用とはどういうものかを実感していきたいと思います。「投資は時間のゲーム」と言われます。手を動かしながら、その意味合いを体感できるのではないかと思います!
まずは節約を駆使してゆっくり資産形成を行うパターン
積立シミュレーターにアクセスしてみましょう!
入力項目は四つです。それぞれ記載の数値を入力して「計算する」をクリックしてみましょう。
- 想定利回り(年利%):一年で何%増えるか
- ここではS&P500に連動する投資信託の利用を想定して9%
- 初期投資額(万円):投資を始めた時点でいくら分を投資しているか
- ここでは10万円
- 毎月の積立額(万円):毎月いくら分を投資するか
- ここでは1.5万円
- 投資期間(年):毎月の投資を何年継続するか
- ここでは30年
シミュレーション上は30年後、およそ2,686万円になります。投資する代わりに金庫に貯金していたら合計は550万円なので、お金に30年間、働いてもらって2,136万円稼いでもらったというイメージです。
※あくまでシミュレーションの位置付けであり、投資の成績を保証するものでは全くありません。出力されるグラフはシミュレーションの都合上、毎月一定の利回りが出ることを前提とした単調な右肩上がりですが、実際には増減を繰り返すものとご理解ください。
なるべく早く、なるべく長く
その「コツ」とは、結論、この章の見出しの通り「なるべく早く、なるべく長く」です。このコツを理解するためには、シミュレーションのグラフの伸びが年々、大きくなっていることに注目しましょう。- 29年目から30年目で増えた額:239万円
- 28年目から29年目で増えた額:219万円
- 27年目から28年目で増えた額:201万円
- (以下省略)
毎月投資している額は1.5万円で変わらないはずですが、得られる利益が時間と共に増えていきます。その理由は、利回り9%は1.5万円だけにかかるのではなく、その時に持っている資産全体にかかるからです。
投資信託を始めた時には初期投資額が10万円で、これに1.5万円を積み上げて行くので、利回りが効いてくるのは20〜30万円の世界です。一方で、29年目に入った時には資産は2,000万円を超えており、この2,000万円に利回りがかかるため莫大なリターンを毎年得られます(そしてここまでくると、毎月1.5万円の投資の威力は微々たるものになっており、その2,000万円が産んでくれるリターンが大きく資産形成に寄与します)。
ここから着想を得ると、セオリーとしては、なるべく早く大きな資産を築いて、なるべく長く運用するということになります。
だからこそ、これから長く投資できる人は節約を意識しながら1円でも多くの資産を投資することが重要です。その心がけが10年後, 20年後に大きな差をつけるためです。そんな背景をもとに、前回は私の節約術を紹介しました。
論より証拠。セオリーをシミュレーションで実感しよう
「なるべく早く、なるべく長く」の威力を積立シミュレーションで実感してきましょう。このセオリーは言い換えれば、「早いタイミングで多くの資産を持っておきましょう」です。積立シミュレーション上では、初期投資額という欄を用意しましたので、これを利用します。
例えば、35歳までになんとか頑張って余剰資金で1,000万円を投資できたとします。年金受給がはじまる65歳までに資産がいくらに増やせるでしょうか?シミュレーターで見てみます。
変更する箇所は初期投資額で、ここを1,000万円に書き換えてあげて「計算」ボタンをクリックしましょう!
- 想定利回り(年利%):一年で何%増えるか
- ここではS&P500に連動する投資信託の利用を想定して9%
- 初期投資額(万円):シミュレーションを始めた時点でいくら分を投資しているか
- ここでは1000万円
- 毎月の積立額(万円):毎月いくら分を投資するか
- ここでは1.5万円
- 投資期間(年):毎月の投資を何年継続するか
- ここでは30年
なんと、1億5,821万円になります。
この意味を説明させてください。
シミュレーターをもう一回だけ回しましょう。毎月の積立額を0万円にしてみてください。
つまり、1,000万円を投資した後、一切、追加で投資を行なわないとしてどうなるかをみていきます。
- 想定利回り(年利%):一年で何%増えるか
- ここではS&P500に連動する投資信託の利用を想定して9%
- 初期投資額(万円):シミュレーションを始めた時点でいくら分を投資しているか
- ここでは1000万円
- 毎月の積立額(万円):毎月いくら分を投資するか
- ここでは0万円
- 投資期間(年):毎月の投資を何年継続するか
- ここでは30年
グラフの概形や最高到達点に極端な差は出ません。繰り返しになりますが、利回りがかかるのは資産全体であるため、追加投資しなくても勝手に資産は伸びていきます。このレベルの資産においてはむしろ、月々の1.5万円は相対的にはかなり小さい仕事しかできません。最終的にこの1.5万円の追加投資により出てくる30年後の差額は2,500万円になります。これは1億5,821万円のうちの16%に過ぎません。
言うまでもなく2,500万円は大金ですが、ここで伝えたかったのは、いかに「なるべく早く、なるべく長く」運用できるかが大きな鍵になるということです。
1億円6千万円ってどういう金額なの?そこまでやる意味あるの?
「35歳までに1,000万円貯めるという前提が無茶だ!」とか、「1億6千万円があったとして老後安泰なのか?」と言った議論もしておきたいと思います。
前者の問いについては積立シミュレーションは使い放題ですから、ご自身のライフプランに合わせて値を色々と変えてみてください!
- 35歳までに余剰資金で500万円を投資して追加投資なしでも6,600万円は貯まります。
- 現状45歳で1,000万円余剰資金があるし、追加投資も毎月10万円できそうという場合は、初期投資額1,000万、積立投資額10万円、積立期間を20年にしてみてください。20年後はシミュレーション上、1億2千万円に到達します。
※繰り返しになりますが、投資の成績を保証するものではありません。あくまでシミュレーションであり、殊、本記事で前提としているS&P500インデックスは米国企業の株式の指標なので、極端な話、アメリカが30年後崩壊していたら0円になります。色々な銘柄があるので、その点は自己責任で選択していく必要があります。私は30年後も米国が伸び続けているという方に賭けています。
さて、1億6千万円分の投資信託がどれほど役に立つ資産なのかについてですが、過去記事でも紹介した4%ルールに当てはめてみましょう。
4%ルールとは、「株式と債券で構成された資産を毎年4%ずつ取り崩しても、30年は枯渇しにくい」という過去の研究に基づいて、資産を生活費用にちょっとずつ取り崩していく時の目安ルールです。
「ちょっとずつ」とはいえ、1億6千万円の4%は640万円で、月額に直すと53万円です。実際には年金もあるので老後にここまで資産が必要なのか良く考える必要がありそうです。なお、4%ルールではこの1億6千万円は「枯渇しにくい」どころか、往々にして増えていくと言われています。
35歳の千円が65歳のときには1万3千円に化ける、知識や経験はそれ以上に化ける(はず)
冒頭で「投資は時間のゲーム」という格言を紹介しました。本記事で、その意味をシミュレーターで実感いただけていたら幸いです。そして私の勉強不足で拡大解釈していたら申し訳ないですが、この「投資」は経済的な資本に対するものだけを指しているわけではないと思います。
早いタイミングで勉強をして社会に価値を還元できるようになったり、健康づくりをしたりと人的資本に投資をすることもまた、時間を味方につけて大きな成果を生み出す道と考えます。その意味では、節約してお金を無駄にせず、堅実に老後を見据えた資産形成を行う一方で、金融商品への投資一辺倒になるのも問題があると考えます。
上記のシミュレーションケースの中で1,000万円の初期投資の他に、毎月1.5万円の追加投資を行うと30年間で2,500万円の差になることがわかりました。たしかに2,500万円は大金ですが毎月の1.5万円があれば他に何ができるでしょうか。
例えば資格取得のための勉強や、健康づくりのためにジムに通う費用として自己投資に充てることもできます。資格をもとに30年間で2,500万円以上のお金を稼いでいるかもしれないですし、それまではもちろん、老後も足腰がしっかりしていて色々なことに挑戦できる生活が手に入るかもしれません(しかも1億3千万もあるとしたらお金の心配は少ないはずです)。
いずれにしても見通しを持って手元の資産を振り分けていくということが不安を解消し、最終的に幸せを手にいれることに繋がっていくことと思います。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。さようなら。
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