予言よりも早くその日が来てしまったら?
ゴールデンウィークが明けてからはもっぱら防災記事を書いてきました。巷に蔓延る「大災難」の予言が熱を帯びてきたように感じたからです。某予言では、特定の日時までを指定しており、それに付随した不安を煽る情報が錯綜している模様です。
私の意見としては、災害については科学的な根拠に基づいて、確率で語るしかないものと考えています。そのため予言を信じてはいません。ただ、当たらないとは言っていません(そんな言い方をすれば、それもまた予言です)。確率的には予言が当たらないとも言えないですし、それよりも早く災害が起きることもありえるのです。
少なくとも、そうした予言やともすれば出どころが不明な情報が蔓延る世の中で、規模や日時が不確実な将来の災害に備え、確実な対策を行うことをモットーに5記事を書いてきました。
なぜなら、嫌でもそのような予言を目にしてしまう以上、対策不足の状態では不安だけが膨らんでいくのではないかと考えたからです。また、万が一にも予言が当たってしまったときに「なぜあの時に対策しなかったのか」と後悔することは確実だからです。
そして、私自身が「なぜあの時に防災記事を書かなかったのか」と後悔しないために、毎日災害が起こらないことを祈りながら書いてきました。不安解消ラボの三大テーマは防災です。防災に貢献できなければ、ラボを運営する理由も33%減になってしまうのです。
今回は、そんな背景をもとに執筆した5記事のつながりや概要を紹介する総説記事です。災害対策はどこから入ってもOKです!先に一覧を掲載しておくので興味のあるものからご覧いただけると嬉しいです。
どこから入ってもOK!防災意識を高める各記事の紹介
防災シリーズ1記事目は『防災グッズ集めからはじめる災害対策!想定に基づいた必須アイテム5選』でした。
前述の通り、私の思いとしては災害への不安や実被害を小さくしていくことです。そのために必要なことは想定だと考えます。「どこに逃げよう」、「誰に連絡しよう」、「何を食べよう」というように思いを馳せる時間を取ることは、今日明日の生活で一杯一杯の現代人にとって容易ではありません。第一、そんな時のことを考えたくないという心理が働いてしまいます。
この壁を打開するため、一番取り掛かりやすいところから始めるのが良いのではと考え、防災グッズを紹介するところから、防災記事シリーズはスタートしました。
飲料水や現金などの物品の重要性を考えるなかで、普段使える社会インフラが止まったときを想定することができます。その中で、「こんな物もあったほうが良いな」とか、「こういうことになったらここに集合しよう」というような会話が生まれると良いなと考えています。
また、記事を読むことすらできないという皆様に向けて、不安解消ラボ.comで提供している防災グッズ診断ツールも紹介しました。ここにあるものが全てではありませんが、災害について考える第一歩としていただけますと嬉しいです。
防災シリーズ2記事目は、『地震が起こったときのNG行動5選!自分の命も周りの人の命も守るための知識』は、知っているつもりでやってしまいそうなNG行動をまとめた記事です。
そう申しますのも、私自身がテンパると普段ならやらない失敗をしてしまうため、改めて自分への啓蒙というつもりで執筆した記事になります。
ちょっと昔話になりますが、祖父の家で小火騒ぎになった時に、一緒に暮らしていた者が何十年も住んでいる自分の家なのにも関わらず、柱にぶつかって救急車を呼びました。幸い、小火は鎮火しましたが、人間、パニックになると普段ならしない失敗をしてしまうものだなと思いました。もちろん私もパニックで叫んだのを覚えています。あの時の焦りが今でもそれなりには思い出せます。その経験が私の防災意識の原点にあるように思えます。
そして、「自分の命も周りの人の命も守る」というサブタイトルについてですが、避難時の火や電気の始末、あるいは現代ではSNSにおけるデマの拡散などについて正しい知識を持つことへの思いを表現しました。自分自身を守るための知識が、一緒に暮らすご家族や、同じアパートやマンションで暮らす隣人を守ることにも繋がります。
ぜひ、大切な方と一緒に目を通していただきたいと思います!
3記事目は『家具が凶器になるかも?家具を押さえれば防災のツボも押さえられる!?』です。
同記事では家の中の想定を少し拡大して、家具の固定のススメについてお話ししました。
近年の地震で怪我の原因の3~5割は家具の転倒や、割れた食器やガラスによるものだそうです(東京消防庁)。
「怖いね」と言いたいのではなくて、むしろ家具が倒れないように対策しておけば、3~5割の怪我を防げる可能性があると捉えていただき、前向きに対策していただくべく、突っ張り棒や戸棚ロックといった具体的な固定具の紹介をしています。
例によって記事を読む時間もない皆様に向けて、家具固定チェックツールを用意しておりますので、ぜひこちらもご活用ください。
4記事目は『あなたの家は大丈夫?家屋やマンションの耐震基準に関する話』です。
同記事では、家の中から家全体へと視点を移して、耐震性についての話を書きました。1981年6月を境に、いわゆる旧耐震基準と新耐震基準の二つに分かれているため、いずれの基準に適合した家に住んでいるのかを把握することについても重要性を話しました。
能登半島地震では、死因として半分以上を占めたのが、建物が倒壊したことによる圧死や窒息死とされています。木造建築物被害の調査においては、1981年以降の木造建築物は、それ以前のものと比較して倒壊・崩壊の割合が小さかったことがわかっています(国土交通省)。
私自身が、1981年よりも前に建てられた賃貸に住んでいまして、改めて耐震性を確認する機会とすることができました。私のように古くに建てられたけど現役な建物や、ご親族から受け継いだ歴史のあるお家に住まわれている方は特に、この記事を通して、お住まいの耐震性を今一度見直していただけますと嬉しいです。
5記事目は『ハザードマップで備えよう!手を動かして認識するあなたの地域の災害リスク』です。
同記事ではもう一つ視点を俯瞰させ、家屋の構造から家屋の位置するロケーションがどのような災害リスクがあるのかについても話を広げました。リスクを把握する上で鍵となるツールがハザードマップです。
ハザードマップとは、自然災害のリスクを可視化した地図であり、地域の洪水、土砂災害、高潮、津波などのリスクを把握するために役立ちます。そんなハザードマップを完成度の高いUIで国土地理院が提供してくれており、実際に手を動かして操作する中で学べる、ハンズオン形式の記事を目指しました。
色々なリスクを重ねて可視化できる「重ねるハザードマップ」と、各自治体の最新の情報へのリンクを行ってくれる「わがまちハザードマップ」を操作して、避難所の位置の確認を行うチュートリアルとなっております。
この記事を対話の糸口として、ご自身や大切な人の住む地域のリスクについて会話していただき、対策への計画につながったのであれば、不安解消冥利に尽きます。
防災シリーズの記事が提供できるもの
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
最後になりますが、本記事で紹介させていただいた5つの記事やツールについては、一つひとつ丹精を込めて作成していますが、これらだけで100%完璧な災害対策ができるわけではありません。歯切れ悪く感じてしまわれているかもしれないのですが、各記事の結びはどうしても読者の皆様に委ねる形となってしまいます。私が提供できるものは本当に極端なことを言えば「きっかけ」までだと思っています。
私自身、これらの記事を執筆する中で、不足している点に自覚的になることができました。まさにこの活動が災害対策について考える「きっかけ」になってくれました。
皆様にとっても、これらの記事が周りの人たちと災害について話したり、危険を教えてあげたりというコミュニケーションの「きっかけ」となり、対策に繋がっていくならばこれに勝る喜びはありません。
これらの記事が読まれることで一人でも死傷者が減ったり、漠然とした災害への不安をコントロールする手助けになることを切に願いまして、防災シリーズの筆を置かせていただきます。改めてありがとうございました!
0 件のコメント:
コメントを投稿