あなたの家は大丈夫?家屋やマンションの耐震基準に関する話


もう一つ上の視点で考える災害対策

 ここ三回の記事では災害対策の考え方やグッズの紹介など、大きなお金や計画が必要なくて即効性のある内容を中心に紹介してきました。しかし、それはあくまで家屋が倒壊していない前提における話です。今回はもう一つ上の視点から知っておきたい家屋の耐震性について書きたいと思います。ぜひ過去記事もご覧ください!

==過去記事==
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※ 本記事含め、本ブログの記事はあくまで私が調査した内容と個人的見解です。いかなる間違いや、記事を読んだことによって発生した結果についての責任を負うことはありません。

1981年が耐震基準のターニングポイント!

 日本の建物には建築基準法の中で明示された耐震基準というものがあります。耐震基準はその名の通り、地震が来たときにも建物が倒壊しないように、戸建てでもマンションでも建設当時の耐震基準に適合するようになっています。
 その耐震基準は大きく分けて二つに分かれています(2025年5月現在)。一つが1981年の建築基準法改正前の「旧耐震基準」と呼ばれるもので、もう一つが改正後の「新耐震基準」と呼ばれるものです(厳密には1981年の6月1日が境目です。下記の注記をご覧ください)。
 新耐震基準では旧耐震基準よりも大きな地震を想定した建物の設計を義務付けています。旧基準でもある程度の規模の地震は想定されていますが、新耐震基準に適合した建物の方がより堅牢な可能性が高いです。

耐震基準 震度5前後の中規模地震 震度6〜7クラスの大地震
旧耐震基準
(1981年5月31日以前)
ある程度耐えるが
被害の可能性あり
想定されていない
新耐震基準
(1981年6月1日以降)
ほぼ無被害
軽微な損傷程度
倒壊・崩壊しないことを目標として設計される

※厳密には、施主からの建築物確認申請が役所に受理され、確認通知書(確認済証)の日付が1981年6月1日以前か、以降かがターニングポイントであり、1981年築の建物が全て旧耐震基準で設計されているわけではありません。

新基準に適合していないとダメなのか?

 結論から申し上げると、1981年より前の古い建物については旧基準に適合していれば法律上の問題はなく、新耐震基準に適合させるかどうかは建物の持ち主次第となります(特定の公共建築物や大規模な不特定多数が利用する施設については、耐震診断や改修が法的に義務付けられている場合もあります)。だからと言って居住者の安全を保障しているわけではありません
 これを受けて生じてくる疑問としては、「新基準に適合していないことがどれくらい危険なのか?」ということです。
 まず大きな地震の頻度の観点からは、過去、震度6以上の地震は年に数回程度観測されます(観測されない年もあります)。震度6以上の地震で記憶に新しいものとしては、能登半島地震があります。
 能登半島地震では、最大震度7を観測し、死因として半分以上を占めたのが、建物が倒壊したことによる圧死や窒息死とされています。木造建築物被害の調査においては、1981年以降の木造建築物は、それ以前のものと比較して倒壊・崩壊の割合が小さかったことがわかっており(国土交通省)、震災時の死傷を減少させる効果が強化された耐震基準にはあるものと思われます。

※ここでは新基準の中に含んでいますが、2000年にも耐震基準が強化されています(2000年基準とも呼ばれるようです)。2000年基準は木造住宅の耐震性の強化の狙いがありますが、基礎設計や柱と基礎との接合部への金具の取り付けなど建築基準法の見直しにより、他の構造種別にも耐震設計の厳格化の効果が及びました。

 過去記事からの繰り返しになりますが、地震の大きさや発生日時を正確に予測することはできないものの、想定することが大切です。例えば、将来起こるとされている首都直下地震においても、震度7以上の地域が出ることが予測されています(東京消防庁)。室内レベルでの対策はもちろん、建築物全体のレベルでの対策が行われているかについても意識を持っておくことは重要と言えます。

お住まいの耐震性をチェックしてみましょう

 今一度、ご自身のお住まいの耐震性を確認することをお勧めします。
 戸建ての場合は、確認通知書(確認済証)を確認するのが近道です。建売住宅や中古住宅では、購入者(家主)に確認済証が引き渡されるとは限りません。その場合は、自治体等に確認をとることが可能です。
 賃貸マンションやアパートなどの場合、旧基準の建築物については、耐震工事や耐震診断や耐震基準適合証明を取得している場合があります。マンションの管理会社や管理組合に問い合わせたりするなどの地道な方法がメインになりますが、東京都では「耐震改修済」、「耐震診断済」などのマークがエントランスに掲示されている場合があります。もしマークに見覚えがあれば改めて確認してみてください(図)。


人を想って家を想う

 本日は、建物が地震に耐えうるか否かという観点でざっくり情報を整理してみました。お住まいの建築物が新耐震基準に適合していたら必ず大丈夫というわけではないですが、被害が出る可能性を減らすことはできるはずです。
 私も賃貸物件探しをする際に今ほどは耐震性を意識できておらず、防災意識の高まりにつき、入居してから調べてみたところ、1981年より前の物件でしたが耐震改修済であることがわかりました。また、両親が住む実家は2000年以降のものなので、ある程度は大丈夫だろうと認識することができました。
 これを機に、一緒に暮らす大切な人をはじめ、離れて暮らす大切な人ともお住まいの安全性について、認識合わせをしてみてはいかがでしょうか





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