住まいの間取りや日当たりくらい大事なこと
突然ですが、お住まいを決めるときに気にすることは何ですか?会社からの距離や家賃、間取り、日当たり、いろいろな基準があるかと思います。
前回は耐震性の観点から「どういう家に住むか」という話をしてきました。そして、今回は「どういう地域に住むか」という、さらに根本的な視点を持つため、国土地理院が提供するハザードマップポータルサイトをハンズオン形式で紹介します。
ハザードマップとは、自然災害のリスクを可視化した地図です。地域の洪水、土砂災害、高潮、津波などのリスクを把握するために役立ちます。
ちなみに、ここまでの防災関連の過去記事については以下にまとまっていますので、ご興味があるものからご覧ください!
==過去記事==
- 『防災グッズ集めからはじめる災害対策!想定に基づいた必須アイテム5選』
- 『地震が起こったときのNG行動5選!自分の命も周りの人の命も守るための知識』
- 『家具が凶器になるかも?家具を押さえれば防災のツボも押さえられる!?』
- 『あなたの家は大丈夫?家屋やマンションの耐震基準に関する話』
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住まいを考えるにあたってハザードマップも加味すべき理由
結論から申しあげると、お住まいのロケーションが災害時の被害リスクに大きく関わるからです。
東日本大震災では津波が猛威を振るいました。岩手、宮城、福島三県合計の死因の9割を占めたのは津波による溺死であったことが報告されています(消防庁)。
また、福島第一原発事故のメルトダウンも、地震の揺れに起因することは確かですが、直接的な原因は、津波によって非常用の電源が水没し原子炉の冷却機能が失われたことによるとされています(東京電力ホールディングス)。
このような事例を鑑みると、お住まいがどのような被害に遭う可能性があるのかを把握しておくことは非常に重要です。津波に限らず、洪水や土砂災害などの危険についてもリスクを踏まえて対策を施したり、住む地域を吟味したりすることが必要になってくるでしょう。
さっそくハザードマップを触ってみよう!
引っ越しやお家を建てる予定の地域や、今お住まいの地域、あるいは親戚が暮らしている地域をぜひこのハザードマップを参照されることをお勧めします。まずはこちらからハザードマップポータルサイトにアクセスしましょう。
ポータルサイトでは以下二つのハザードマップが提供されます。
- 重ねるハザードマップ:日本地図を拡大&縮小でき、各災害のリスクを色分けして表示
- わがまちハザードマップ:各自治体が提供しているハザードマップへのURLを提供
※ ハザードマップが最新の情報を反映しているとは限らず、各災害項目にて危険性が表示されない地域にも災害リスクが存在する可能性があります。あくまで参考情報のひとつとしてご活用ください。また、以下、引用部にあるように、ハザードマップポータルサイトに関するデータの内容やリスク情報の解釈については関係各機関へお問い合わせいただくように記述されています。
(引用開始)
「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」は、関係各機関が作成した災害リスク情報などの防災情報を、まとめて閲覧できるようにしたウェブサイトです。掲載されているデータの内容や、リスク情報の解釈等については、作成した機関にお問合せください。
(引用終わり)
「重ねるハザードマップ」を触ってみる
重ねるハザードマップでは住所検索と現在地からの検索が可能です。
少し引きで日本を眺めてみます。津波を選択してみます。ちょっとわかりづらいかもしれませんが、オレンジ色や赤色のプロットが見えます。
今回は、人口が集中しているであろう首都圏を中心に拡大して見てみます。九十九里浜沿いが赤く線になっています(凡例に照らし合わせると5~10mの津波が警戒されているように見えます)。
また、東京湾のあたりも薄いオレンジを中心にプロットされており、川崎や浦安のあたりも地域によっては注意が必要なことがわかります。
都心部も拡大してみます。比較的、津波のリスクは低いのかもしれません。
ここで、津波の中の小項目である「地形区分に基づく液状化発生傾向図」を選択してみましょう。
先ほど表示されていた「津波の浸水想定」のマッピングはそのままに、液状化傾向についてもマップを「重ねる」ことができました。
さらに小項目の中の「凡例解説」をクリックすると、どの色がどんな意味なのかを確認することができます。液状化のマップにおいては、灰色、黄色、オレンジ色、赤色、紫色の順に液状化傾向が強いことがわかります。
避難所マークにカーソルを合わせてクリックすると、避難所の住所と対応している災害の種別を調べることができます。たまたまですが、東京都港区の札の辻スクエアという施設にカーソルが合いました。
実際に画面操作をしてみて、様々な角度から地域の安全性を吟味してみてください!
「わがまちハザードマップ」を触ってみる
たまたまカーソルで指した避難所が東京都の港区だったので、「わがまちハザードマップ」でも同地域の情報を確認してみましょう。わがまちハザードマップでは、各自治体が出している情報へのアクセスすることができ、最新の情報を追うことができます。
様々なハザードマップの種類がありますが、「地震防災・危険度マップ」を選択してみます。
港区のハザードマップ情報を提供するウェブサイトへ飛ぶことができました。
より下の方へスクロールしていくと、「津波避難ビル一覧」が掲載されており、さきほど「重ねるハザードマップ」にて確認した「札の辻スクエア」の情報がこちらでも確認できました!
百聞を一見に、一見を行動に。
今回はハザードマップをハンズオン形式で紹介しました。直感的な操作だけで重要な情報をまとめて確認することができました。百聞は一見にしかず、きっとご自身で手を動かして確認した情報は、実感を伴って記憶に深く残ることかと思います。
さらに高度な利用方法について、使い方のページにてスクリーンショットベースでの説明や動画へのリンクも掲載されています!
さて、Hazard (ハザード) という言葉は、英語で「危険」を意味していますが(車のハザードランプも危険を知らせるためのものですね)、その語源はアラビア語で「偶然」や「運命」を意味していたそうです。「人間にはどうにもできないこと」というニュアンスがあるのだと思います。確かに自然災害が起こってしまうこと自体はどうしようもないように思える一方で、科学的な予測にもとづいて危険性を認識し、必要に応じて行動することは可能です。
仮にハザードマップを見てお住まいの地域にリスクがあることを認識できたら、避難所の把握や、引越し、家屋の補強など予測される被害に応じたアクションプランを計画することができます。
また、是非、大切な人が住む地域のハザードマップもご確認いただき、必要に応じてアドバイスをしていただければと思います。相互に支え合える社会を目指して、不安解消ラボを運営させていただいている今日この頃です。
この後のおすすめアクション
- 自宅と職場のハザードマップをチェックしてみましょう!
- 最寄りの避難所を確認して、必要に応じてご家族と共有してみましょう!
- 離れて暮らす親しい人の地域のハザードマップも確認してみましょう!
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