今年のゴールデンウィークは飛び石で正直あまりゴールデン感はないですね。それでも普段よりゆっくりできるこの連休、キャリアや人生について、ふとお考える時間も自然と多くなるのではないでしょうか(祝日も関係なく働かれている方におかれましては、なおさら人生について考えるかもしれません)。休めば休むほど、また仕事に戻ることが億劫になるのが大型連休でございますが、日々の辛さを改めて実感し「もう限界」と感じていらっしゃるサラリーマンやアルバイターの方向けに、本日は、「会社を辞めるにあたっての気の持ちよう」についてお伝えしたいと思います。そして、そのために知っておきたい事実があります。「法的には、会社はメール一本で辞められる」ということです。会社を辞めるなんて「そんな簡単にできっこない」という気持ち、お察しします。不安は何より具体化です。一つひとつテーブルに乗せて考えていきましょう!
※ライフハックとしては、次の仕事が決まってから辞表を出すことをお勧めします。少なくとも現在は、仕事を辞めてから就職先を探している志望者よりも、仕事を続けながら転職先を探している志望者が優遇されるようです(以前、転職エージェントと会話した際にアドバイスをもらいました)。少なくとも今日の日本社会においては、辞職は人生において一大イベントであり、あらゆるリスクを考慮して判断する必要があります。
※ 本記事は執筆時点の一般的な情報に基づいています。個別の状況や契約内容によっては異なるケースもあるため、必要に応じて専門家(労働基準監督署、弁護士など)への相談をおすすめします。
会社を辞めるとき、人はなぜ迷うのか
さて、法律の話に入る前に、会社を辞める際の懸念について、思いつくままに書いてみますと以下のような感じでしょうか。
- いきなり仕事を辞めたら会社が回らないのではないか
- 先輩や同僚に申し訳ない
- 親や周囲に反対される
- 仕事を辞めると経歴書に傷がつき、収入もなくなるのでこの先不安だ
- 上司に辞めたいと言い出すのが怖い(ここでタイトルの通り法律の話もします)
これらは私自身が幾度となく考えたことであり、結論から申し上げると、これらは完全に払拭できるものではないと思います。しかし、これらを100%で捉えるのは得策ではありません。絶対に割り引いて考える必要があります。割り引いて考えるために、私が行き着いた考え方、気の持ちようを紹介します。
「いきなり仕事を辞めたら会社が回らないのではないか」への気の持ちよう
数人が辞職しても大抵の会社は回るようになっています。むしろ、あなたが思い悩むほどのハードな職場や業務であれば欠員も予測してバックアップ体制を用意しておくことは会社の責任でしょう。そもそも、心配になる気持ちはわかりますが辞める会社のことを心配するのはよくよく考えると不思議です。思い切って辞めた後のあなたを想像してみてください。以前に勤めていた会社の業績など自分ごとのように考えられるでしょうか。それよりも晩ごはんやなんかのことを考えているはずです。したがって、この懸念は大きく割り引いて考える必要があります。個人的な感覚としては90%引きくらいでちょうど良い感じかと思います(うまく割引けなくても責任感を持って働くあなたは素晴らしいです)。
「先輩や同僚に申し訳ない」への気の持ちよう
もし「辞める」と言えば皆その時は悲しむかもしれませんが、先述の通り、あなたが辞めた後も何事もなかったかのように会社は回り、いずれ誰もが辞めた人のことを忘れてしまいます。会社は部活ではありません。資本主義において、各人が生きていくために自分のリソースを売って対価を得る極めてシビアな機構
です。「お世話になった先輩に恩がある」という気持ちもわかりますが、後輩育成はその人が課長、部長になれる器であることを示すための「仕事」であり、先輩はその仕事に対する対価をすでに給料として受け取っていることをご認識ください。とは言え、仕事レベル以上にお世話になったとか、プライベートの付き合いになっているということもあると思うので、少なめの割引にします。50%引きくらいでしょうか。
「親や家族に反対される」への気の持ちよう
今あなたが「もう限界」と感じるのであれば意見を聞いても従う必要まではありません。どの親も自分の子どもが心の病になってまで働いて欲しいなどと思っていませんが、そのリスクを過小評価して意見をしている場合が多いと思います。私も遠く離れて暮らすエリートサラリーマンの父が心の病になった時は驚きました。私がよくよくウォッチしていなかったのはもとより、母は休職に反対していたわけではないはずですが、そこまで大事になることがわかっていたらタオルを投げていたのではないでしょうか。ストレスが原因で発症する病は将来にわたって長い尾を引く可能性があるので軽んじない方が良いです。父はすでに数年間一秒も耳鳴りが止まらず、医師からは治らないと言われています。
みんな不安であることをご認識ください。自分の子どもが生活できなくなるようなことがあったら可哀想だと思っていますし、年金だけで老後生活していけるのか先行きに不安を持っています。そういった相手の背景をよくよく理解したうえで、相手の意見を割り引く必要があります。これは60%引きくらいで良いでしょう。
「仕事を辞めると経歴書に傷がつき、収入もなくなるのでこの先不安だ」への気の持ちよう
辞表を胸ポケットに入れながら仕事をすると楽になったと言う話があります。これは、辞めるという選択肢を手中にすることで、瞬間瞬間、仕事を続けることを自分で選択することになるからだと思います。ただ、実際にその辞表を出せるかどうかはその後のプランが決まっているかどうか次第なところがあると思います。冒頭の注意書きの通り、今日の日本においては経歴の穴をその人の人的資本リスクと捉える企業があることも事実であるため、解決策としては仕事を続けながら転職活動をしてみることお勧めします。
転職活動は今の会社にばれることがほぼない一方で(大手の転職サイトは自分のプロフィールを会社に見られないよう、企業名を指定してマスクが可能です)、より自分に合った仕事に就いたり、年収を上げたりできる非常に割の良い賭けです。内定を取ったうえで、今の働き方と比較した時にどちらが良いかをケースバイケースで考え、「選択」してみましょう。人手不足の昨今なのできっとなんとかなりますし、万一、どこからも内定をもらえなかったらまたその時考えれば良いので、この懸念は90%割引きましょう。
「上司に辞めたいと言い出すのが怖い」への気の持ちよう
自分が辞めても会社は回るし、上司は部下の育成や、リソースアロケーションに努めたりすることも仕事のうちであることはわかる。だけど上司が怖くて辞めると言い出せない。そんな懸念を解消するためのツールとして退職代行サービスがあります。調べたところ、数万円で利用できるようです。
しかし、あくまで私の調べですが、法律上はそこまで律儀にやらなくても、労働者には辞める権利が備わっており、追われて訴えられるようなことはなさそうです。正社員とアルバイトは民法627条を根拠に、契約社員は労働基準法第137条を根拠に以下のようなルールで辞職可能です(合意退職と辞職のうちの辞職に相当する内容です)。
- 正社員やアルバイト:原則、2週間前に退職の意思表示をすれば、理由を問わず契約解除可能
- 契約社員:原則は契約満了までだが、やむを得ない自由による中途退職が認められる可能性あり
当たり前ですが法律が社会のルールであり、上司の許可も就業規則も法律に則っていないものは無効です。正社員やアルバイトの場合は、ゴールはこちらが退職の意思を示すことで(トラブル防止のため、内容証明郵便で退職届を提出することなど細かいチップスあり)、原則、損害賠償になるケースは非常に稀です。これは国会が労働者を守る法律を制定することで国民が安心して働くことを狙って、あるいは労働者の心身が壊れる前にスムーズに辞職できるようにすることで、その人がより自分に合った仕事でより高いパフォーマンスを出して日本を成長させてくれことを期待したものです。
あなたが悩みに終止符を打って次の一歩を踏み出すための権利として存在するものなので、このルールに則って堂々と行動されれば良いと思います。ここでは極端な話、メール一本でも法律上はOKということをお伝えできればと思いますが、テクニカルには、その道のプロ集団である退職代行サービスの協力を得ることは有効だと思います。ただ労働者の権利を知ることで、退職代行サービスにお願いする時のハードルがより下がることかと思います。この懸念は99%割引くらいにして良いのではないでしょうか。
気の持ちようでお得に?
私の独断で辞職をする時に湧いてくる不安に対して値下げシールを勝手に貼り付けてきました。皆様なりに同意できる考えとできない考えがあることは承知していますので、ぜひご自身の割引率を計算してみてください。自分で値引き率を決めることで不安を支配する感覚も手に入るはずです。会社という組織と自分の責任分界点を見誤らないことをはじめ、辞職を止めようとする相手の発言に対しては状況の認識が自分と異なることを織り込むこと、そして先人が制定してくれた法律を知ることなど、この記事をヒントに、あなたが俯瞰的に不安を捉え、楽になるためのお力添えができていたら幸いです。
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