リボ払いの本当のヤバさ。シミュレーションでわかる時間と返済残高の関係!

2025年6月21日土曜日

シミュレーション セーフティネット ハンズオン マネーリテラシー

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リボ払いの金利の高さと設定額の自由さが招くリボ地獄

 前回の記事では、リボ払いの金利が高い理由を直感的に理解できるような解説を試みてみました。その金利の高さゆえ、リボ払いの危険性の真髄は月々の返済設定額によっては、なかなか返済が終わらず、期間が伸びればそれだけ合計の利息も増えるということです。

 この説明でピンと来られる方も、何がなんだかわからない方も、今回はシミューレーションを用いてリボ払いの危険性を定量的に実感できる内容となっております。
 
 過去記事を振り返りながら話を進めていきますが、もし前回の記事が気になる方はこちらをご覧ください。借金とは何かという少し前段の概念的な話からイメージを掴むことができます。

リボ払いの仕組みを復習しよう

 リボ払いは分割払いの一種であり、毎月の支払い額をあらかじめ決める方式です。例えば、リボ払いで10万円の買い物をして月々5,000円の返済設定を行うことで、その時には10万円が手元になくても買い物ができてしまう支払い方法です。10万円はその時にカード会社が建て替えます。

 ただ、立て替えてもらって月々5,000円の返済で済むのなら良いのですが、実際には金利(利子)が発生します。利子の考え方はその時にお金を立て替えたり貸してくれたお礼代と思うとわかりやすいです。リボ払いではカード会社が一度10万円の買い物を立て替えてくれ、その後の返済は設定額に応じて待ってくれますので、その間にお金を貸してくれている状態に等しくなります。債務者はそのお礼を利子として支払います。

 リボ払いの落とし穴は、この利子(金利)が超高いことで、これは消費者金融と同水準の15%程度が一般的です。金利が高い(利子が高い)ということは、トータルで返すべきお金が、時間と共にハイスピードで大きくなっていくということです。

 利子とは、例えば返済せずに放置した場合、15%の利子がかかった10万円は一年後に11.5万円になります(10万 × 1.15)。そして、11.5万円にまた15%の利子がかかるという仕組みになっています(11.5万 × 1.15)。
 リボ払いでは、毎月の残高に対して利息がかかるため、返済が遅れると利息が重なり、結果的に複利のような影響を及ぼすことになります。実際には単利に近い計算ですが、残高が減りにくい構造のため、体感としては複利のように借金が膨らむ感覚になるのです。
 簡単にいうと、リボ残高がリボ残高を呼ぶので余裕があるなら返済を引き伸ばしすぎずに完済することや、できればリボ払いを利用しないことが吉です。

※「複利」がピンと来ない場合はこちらの過去記事もぜひご参照ください。投資信託の文脈でわかりやすく解説しています。リボ払いでは「投資額」を「返済残高」に、「利回り」を「利子」に読み変えるだけで、複利の仕組み自体は全く同じです。 

シミュレーションで理解から実感へ

 さて、いよいよリボ払い返済シミュレーターの出番です!
 アクセスしてみると、以下のデフォルトの設定が入力されていますので、「計算する」ボタンをクリックしてみましょう。
  • 10万円の返済残高
  • 15%の金利(利子)
  • 月々の返済額:5千円

 
 そうすると、グラフが出力されます。重要な情報は二つです。
  • 完済まで何ヶ月かかるか: 24ヶ月
  • 支払う利息の合計金額15,795円
 つまり、毎月5,000円のペースで返済すると、リボ残高が完済できるのは2年後で、それまでの間にお礼として支払うのは1.6万円くらいになります。
 グラフの見方としては、棒の長さが残高の大きさを表しており、右に行くほど時間が経って残高が減っていくというイメージです。棒が消えたタイミング、つまり返済残高が0円になったら完済です!

※本シミュレーターはあくまで概算による参考情報を提供するものであり、正確性・完全性を保証するものではありません。実際のリボ払い契約内容(繰上げ返済・手数料・遅延損害金など)により異なる場合がありますので、詳細は各カード会社等にご確認ください。本シミュレーターの利用により生じた損害について、当サイト運営者は一切責任を負いかねます。

 先ほど、「リボ残高がリボ残高を呼ぶ」という話をしましたが、これもシミュレーションで直感的に理解できます。例えば、月々に支払う金額を5,000円から半分の2,500円に減らしてみましょう。「計算する」ボタンをクリックしてみましょう。


 その結果は56ヶ月で完済となり、この結果としては、返済期間や返済金額が単純に倍になるわけではありません。


 リボ払いの返済においては、少し上の黄色枠に書いてある但し書きが真髄となります。

コツコツ返済して返済残高0円を目指しましょう。
右に行くほど棒が短くなっていって、最後は棒グラフが完全になくなれば完済です。
毎月の返済額が小さいほど、完済までが長引き、利息の合計が大きくなり損が増えます。
逆に、返済額を多めにすると早く完済でき、利息の合計が減るので経済的です。

 つまり、月々の返済金額を小さく設定しゆっくり返済するほど支払う利子(=お礼)が増えていく機構であり、そのお礼の量はこと金利が非常に高いがゆえに時間とともに膨大になっていくイメージです。

 ならば今度は逆に少し頑張って毎月の返済額を増やし、毎月1万円を返済に充てるとします。早めに返し終えてリボ残高がリボ残高を呼ぶ時間を与えないイメージです

 結果は11ヶ月で完済!返済額をデフォルトの倍に設定しただけで、倍以上に早く返済が終わり、利息も大きく減ります。

 今回は返済に関しての話でしたが、投資に関しても考え方は同じで、基本的には早く手を打つことでより早く、よりお得になるというのがセオリーとなります。もっとザックリした表現をすると、今持っている千円の価値は将来の千円以上の価値を持つとされるということです(あくまで「そう考えられている」というだけで保証するものではありませんが)。

とはいえ無理は禁物!!

 返済のために、まとまったお金を得られるからと言って法律に反することをはじめ、将来の自分に顔向けできなくなることは絶対にやるべきではありませんし、無理しすぎて体を壊すようなことは問題です。
 なんでもかんでもセーフティネットに頼れば良いと言うものではないのですが、自己破産をはじめ、失敗して立ちいかなくなった人を救済するための制度が日本にはあります。

 まずは、解決方法を現実的な路線で考えていきましょう。私がサッと調べただけでも以下のようなサイトが見つかりました。

 相談窓口がまとまっているようなので、まずは消費者ホットラインや一般財団法人日本クレジットカウンセリング協会あたりで相談をしてみるのが良いのではないでしょうか。
 いきなり弁護士事務所に相談するのもハードルもありますし、お金がかかる可能性がありますので非営利の相談窓口から始めるのが良いのではないかと考えます。


リボ払いは時間のゲームの裏返し

 リボ払いの細かい仕組みや計算ロジックに焦点を充てられることが多いですが、私は細かいロジックは置いておいても、実際にシミュレーションをする中で、ある直感を掴めることが一番大事だと考えています。
 その「ある直感」というのは、今日の日本においては、「今のお金の価値は将来のお金の価値より大きい」ということです。

 『積立投資の王道〜シミュレーターで実感する正攻法と人的資本への投資について〜』で触れた通り、資産形成期の初期はとにかく元本が大切であり、その元本が時間をかけて次の元本を呼び、数十年のスパンで大きな成果となります。
 リボ払いはまさにその裏返しです。返済残高を早めに摘んでおくことで返済額をなるべく小さく解決することができます。

 このメカニズムはスキルや経験にも当てはまります。特に残された時間が長い若い人については自己投資の機会を早めに持つことで、その後の人生の中でそのスキルをたくさん活用する中で成果を出し、さらにその成果を土台に次の自己投資を行い、最終的には元金とは比較にならないほどの大きなリターンを得ることができるはずです。

 ただ、そのためには健全な経済状態や、ひいては健全なメンタルの状態であることが必要です。リボ払いという一つの選択肢によって、必要な自己投資ができなかったり、心を壊したりしないように注意していきましょう。

 一人ひとりが心理的安全性を持ってチャレンジを行える世の中を目指して、引き続きラボの運営に尽力してまいりたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。

(補足)他シミュレーションサイトとの結果の違いについて

 他のシミュレーションサイトにおいては、返済額と手数料(利子)を分けて出力している場合が多く見られ、実際、リボ払いをするとそのように請求されるものと思わえれますが、弊ラボのシミュレーターについては利子を返済額の中に含む仕組みになっています。

 例えば、年利15%の残高10万円を毎月5千円ずつ返済していく例を考えます(この例は弊ラボシミュレーターのデフォルト設定です)。他社サイトでは最初の返済金額5,000円に1,250円の手数料を別途上乗せし、その月に支払う額としては6,250円として計算する場合が多いようです。
 一方、弊ラボのシミュレーターでは5千円の中に利子への返済費用も含んで計算していますので、返済額は最初から最後まで、どの月も変わらず5,000円となります。
 個人的には、手数料を別にしてしまう前者の計算方法だと、毎月5,000円でその期間内に返済できるかのような誤解を与える可能性があると思い、利子も込みで本当に5,000円しか払わない場合はどうなるのかをシミュレーション可能な後者の方法を採用しました。
 要件に応じてサイトを使い分けていただければと思います。

※大前提、弊ラボの提供するシミュレーターはザックリとした計算を行うことが目的のため、細かな計算ロジックの間違いはご容赦ください。また、上述およびサイトの注意書きにある通り、計算ロジックの根本的な間違いについても責任を負いかねます。ご了承のうえ、ご活用ください。
 





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VUCAと呼ばれる先の見通しを立てにくいこの時代において、各々が不安なく、自由に幸せを追い求められる社会を実現すべく啓蒙に励んでいます。 不安解消ラボ.comにもぜひ足をお運びください!

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