今度の選挙は超重要?
結論、今月に行われる参議院選挙は超重要です。
都道府県議会や市区町村議会など、色々なところに「先生」と呼ばれる人たちがいますが、7月20日に投票が行われ、選ばれる予定の参議院議員は国会議員の「先生」です。
細かい話は後に回しますが、この国会議員が持つ権限は強大なため、早い話、間違った人を選ぶと間違った方向に政策が進み、投票した我々自身にその結果が返ってきますし、その逆も然りです。
今回はそもそも国会議員って何が仕事なのか、選挙の争点は何なのか、公示から投票期間までのスケジュールなど、来たる参院選に向けて重要なトピックを順に追っていきたいと思います。
国会議員のお仕事
ニュースなどを見ていると、政治資金の問題をはじめとした不祥事の糾弾と、それに対する説明といった質疑応答の様子を目にすることが多く、テレビドラマさながらの議論をしているようなイメージが多いかと思います。確かに国会議員の不審な行いを監視し、糾弾することは必要なのですが、そういった議論がメインの役割というわけではありません。
国会の重要な役割のひとつは立法です。憲法に明記された指針と矛盾しない法案を作成し、採決することが仕事です。
法律には様々あり、分かりやすいものは「こういう悪いことをしたら懲役XX年」といったルールを定める刑法、あるいは結婚や相続を司る民法があります。さらに、我々の手取りに直結する税法や社会保障法をはじめ、労働法や商法、教育法などあらゆる種類の法律の案を議論し、合意形成していくことが国会議員の主務です。
合意形成は一筋縄ではありません。自由民主党や公明党、立憲民主党、国民民主党など様々な考え方を持ったグループ(政党)があるので、主に内閣から提出された法案を国会で議論しながら調整して、最終的に多数決で採決するか否決するという流れになります。
予算案も重要です。税金や社会保険料から厚生される国家予算をどのような内訳で使っていくのかについても議論されます。法律が整っていても、予算がなければ政策を実行できないためです。
採決は多数決による点がポイントです。つまり、個々人で多少の考えの違いがあるにせよ、各政党が国会の議席をいかに多く獲得できるかが、法案や予算案を通せるか否かを左右します。だから選挙は各党が必死なのですね。
法律は社会の根幹ですから、我々が選んだ国会議員の方々が社会の指針を決めると言っても過言ではありません。一人ひとりの主張をしっかり見極めることが重要です。
例えば、演説やポスターで減税を先に訴えるのか、少子化対策を訴えるのか、防衛強化なのか、はたまたNHK改革なのか。
国会議員の任期もあなたの人生も有限です。自分が優先して解決して欲しいことと公約が合致していそうかをよく見聞きしてみましょう。
今回の選挙における争点は?
優先順位があるとはいえ、候補者どうしを比較するにあたっては、共通の課題事項を押さえておくことも必要です。そこで、私の独断と偏見において、今回の選挙ではどの辺の話が争点になるのか、また、私の考えも込みでまとめてみたいと思います。
ひとつ目の争点を詳しく書きすぎて力尽きました。。他の争点は次回以降にします。
争点1:消費税減税/廃止
すでに政党によっては消費税に対する公約は語られており、ある党は消費税を期限付きで0%にすることや、特定の課税対象への減税、あるいは廃止などグラデーションはありますが、消費税を今よりも下げる考え方が多いように見受けられます。
私個人の意見としては、消費税の廃止をはじめとした極端な変更や、とにかく競って下げるようなことには懸念があります。なぜなら、消費税への手入れは慎重に行わなければ、経済が崩壊する危険があるからです。
令和6年度、政府の歳入は112兆円ありました。そしてこの112兆円は、一般会計歳出、つまり社会保障関係費や公共事業関係費、防衛費などへ丸っと充てられます。112兆円の財源のうち24兆円くらいは消費税で、労働者から納められる所得税を凌ぐ大きさです。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page03.htm)
消費税廃止が意味するところはこの24兆円のお金を無くすということです。当たり前ですが、お金がなければ先ほど申し上げたような介護や医療をはじめとしたあらゆるサービスへの補助を減らさなければなりません。
逆に、今と同じサービスを維持するためには別の方法で財源を捻出する必要があります。これについてはわかりやすいものでは二つの方法があります。
- 所得税や法人税など他の税収を上げる
- 国債を発行する(円グラフの左側、水色の部分を大きくする)
ところが、いずれの方法でもスッキリ解決とはならないと考えます。
方法1については、前回の記事で述べたとおり、106万円の壁を廃止したり、在職老齢年金制度の見直しによって働く人数自体を増やすという方法もあるでしょう。しかし、それらは段階的な施行であり時間もかかるうえ、最終的な効果は未知数です。
最も手っ取り早い発想としては税率を上げることでしょう。そうなると、消費税は下がったけど所得税が増えて手取りが減るようなことになりかねません。
方法2は、簡単にいうと国債という利子付きの手形を売ってお金を得るということです。上記のグラフでも歳入の数割を占めるほどにはこれまでも行われてきた方法ではありますが、リスクがないわけではありません。
国債があまりに増えすぎると、国債の持ち主は「この国、本当にちゃんと手形分のお金を返せるの?」と不安になります。そうなれば、国債を買い控える人や売る人が増え、市場での国債の価格が下がります。それに伴って以降に発行される国債の利回りはより高くしないとならず(より色をつけて返すようにしないと国債を買ってもらえないから)、利払い負担が増えます。
加えて、国債の返済ができないと判断されれば通貨の信用も下がり、円が売られて円安になります。円安は輸入品の価格を押し上げ、私たちの生活に身近なところでインフレにつながるリスクがあります。
※実際には紙幣を発行する権利がある日銀が国債の多くを買い付けているので大丈夫と言う理論もあります。ですが、信用という実態のないものの話なので、理屈だけで片付くのだろうかという不安があります。
インフレとは物価が上がることですが、緩やかなインフレは決して悪いことではなく、むしろ経済成長している国ではインフレし続けることが普通です。
そのメカニズムとしては、まず良い商品があれば消費者はそれを買います。上がった利益をもとに企業はより良い商品を作り出そうとします。そのために企業は人を雇ったり、給料を上げたりした結果、国民にお金が回り消費意識が高まるなかで、企業が提示する商品価格も上がっていくという循環が起こります。結果として緩やかなインフレが起こっていくという流れになります。日本は長らくこの逆のデフレでしたが、国家が成長していくためにはむしろインフレしていかないといけないわけです。
一方で賃金上昇が追いつかないような急なインフレは危険です。例えば、極端な話、インフレによって来月の物価が2倍になったらどうなるでしょうか。今月1,000万円持っていたとしても、来月になったら、今月の500万円分の買い物しかできないということです。
話が少し外れますが、老後に一番怖いのはこのような急速なインフレです。コツコツ働いて老後資産を準備していたとしても、こう言ったインフレが起きてしまうと努力の成果が半減です。まず普通はこんなことは起きませんが、例えば1億円を貯金できたとしても10年後物価が10倍になっていれば、その時には今で言う1,000万円分の価値しかありません。手をつけなければ銀行口座に入っている金額自体は変わってなくても、お金の価値が目減りするとも表現されます。
現役世代でも給料が上がるとは限らない中で先に極端な物価上昇が起これば、生活苦になる人が続出します。
また、投資家はそんな価値が変動する危なっかしい通貨を持っているリスクを取れないため(お金の価値が目減りするわけですから)、円建ての株や債券を売って、より安定したドル建の資産を買うなどの動きが起こることで、円が市場に溢れて円安になり得るという説があります(みんなが欲しがらずに、市場に溢れているものの価値は下がりますよね)。
話は長くなりましたが、素人目では国債を際限なく発行すれば良いという考えも危険に思えます。一方で、国債にアレルギーを起こすのも良くないと私は考えていて、「際限なく発行」するか否かがキモです。
会社の経営においては、内部留保の数倍の借入れがある状態は普通であり、それでも利子を返せている間はお金を貸している銀行も文句を言いません。むしろ経営を続けいくほど事業規模が大きくなり、借金が増えていくことが普通です。返済する必要が出てくるのは会社を畳むときです。会社と違って日本国を畳むことを考えるときなんて来ません。
その観点では、これまでにいわゆる国債自体や利子の返済以外の財源を全て税収で賄うような状態(プライマリーバランスが均衡すると表現される)はむしろ極端だと思っています。
私は量をコントロールできる前提であれば、経済難の現状は国債の発行をむしろ行って未来への投資をするべきとすら考えていますが、毎年、消費税分の24兆円を刷ることが「際限なく発行」になるのか、ならないのかなんて誰にもわからないです(実はトータルでは1,000兆円ほどの国債が貯まっているのでそれと比較すると微々たる変化に見えなくもないですが)。
結論、消費税減/廃止案は魅力的に見えても、バランスや現実性の見極めが重要といったところでしょうか。今回はアツくなりすぎてしまいました。争点2以降は次回以降に回しましょう。
※実際には、急激なインフレだけでなく、金利の上昇によって政府の利払いが増えたり、景気が冷え込んだりする副作用もあります。ですが、私たちの生活にもっとも直結しているのは「物価の上昇」という形で現れるインフレリスクだと思ったので、フォーカスしました。
いずれにしても、耳障りの良いことを言うのは簡単です。リスクと利益の天秤をどこまでをリアルに考えてその公約を掲げているのか、これをしっかり見極めたうえで投票できると良いですね。
投票期間までのスケジュールとNG行動
消費税ひとつとっても誰が政権を握るかで世の中が変わってきそうだなということを改めて私自身、執筆する中で感じました。そんなインパクトがある行事なので、時期によってやって良いこと悪いことなどがあります。この後のスケジュールについて見ていきましょう。
まず明日の7月3日には公示が行われ、そこからはヨーイドンで選挙活動がスタートします。逆に3日までは選挙活動をしてはいけません。公約の発表などは行われますが、候補者は「清き一票をお願いします!」といった呼びかけを選挙カーに乗って行ったり、街頭演説を行ったりすることはできません。
こういったルールは公職選挙法に基づいており、公示の後にも、個別訪問や買収にあたる飲食の提供など、候補者のNG行動があります。
公示後、有権者のNG行動もあります。候補者同様に金品を配って投票を依頼したり、特定候補者へのメールでの投票呼びかけや、SNSでのなりすまし投稿などが禁止されています。知らずに違法行為を行ってしまうことがないように気をつけましょう。
選挙を楽しもう
私は自分がやるかは別として、勝負ごとが好きだったりするので今回の参議院選挙は非常に楽しみにしています。候補者がどんな未来を公約の中で描いて見せてくれるのか、そしてそれがどのように有権者に判断されるのかといった視点で見ていくつもりです。
当選者の意見は有権者の多数派の意見なので、開票結果を見て自分は同じ考えの人が多くて良かったと思うのか、あるいはこの国の未来に失望するのか、いずれに転ぶかによって今後の身の振り方も変わってくるのかなと思います。
そのうち不安解消とかそっちのけで、海外移住を視野に英語学習方法とかを記事にしだすかもしれないですね。そうならないことを願っています。
※本記事は制度や政策に関する個人的な考察を主としたものであり、特定の候補者や政党への投票を呼びかけるものではありません。
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